その上、能の装束そのものが、んもどき
その上、能の装束そのものが既に彫刻的の性質を帯びている。
すべて大きく、輪郭がきつぱりしていて、甚だしく嵩のあるところと、細くひき緊つたところとが必ずあつて、抑揚がつき、どんな姿勢をしても全体から輪郭の突飛な逸脱を起さない。
或る図形のうちに統一されて動いている。これは幅びろな装束類や着附のおのづから構成する彫刻的な綜合性である。
さういふシテが置物のようなワキと調和ある位置を終始保つて去来するありさまを見て、われわれがそれを彫刻の延長のように感ずるのは無理がないであろう。